アーバン・アート / Urban art
現代都市社会で発達した視覚芸術の総称
概要
アーバン・アートはストリート・アートとグラフィティを連結した名称で、しばしばしば、都市建築や現代の都市生活様式に触発され、都市部で発達したあらゆる視覚芸術を要約するときに使われる言葉である。
「アーバン・アート」の概念はおもにグラフィティ文化とその関連が深いストリート・アートから発展した。
ほかの芸術と異なりアーバン・アートは公共空間上に無許可に設置されるのが特徴で、破壊行為や私有地の器物損害行為と見なされることもある。
アーバン・アートはもともと移民が集まる地域をはじめさまざまな異なる文化の人々が共生する限定された区域で発生したが、今日では世界のいたるところにアーバン・アーティストたちが存在する国際的な芸術形態となっている。
多くのアーバン・アーティストは世界中の都市から都市へと移動して、世界中の都市で制作するだけでなく社会的な面でも関与している。
アーバン・アートは、追加すると正式なギャラリー・スペースでも展示活動を行う合法的なストリート・アーティストや、油彩や彫刻など伝統的なメディアを使用して現代的な都市文化や政治問題を主題として扱うロウブロウ・アーティストなど幅広い階層の芸術家たちを示すこともある。
フランスのパリの11区にあるオベルカンフ通りにある「Le Mur」は、今日において現代のアーバン・アートのスポットである。2007年には公式なストリート・アートの展示スペース区域と指定された。
違法から合法へ変化するアーバン・アート
アーバン・アートはもともと違法なアンダーグラウンド運動としてはじまったが、バンクシーやアダム・ニートのようなアーバン・アーティストが今やメインストリームの地位を得て、今度はポップ・カルチャーのほうがアンダーグラウンドではずのアーバン・アートへ入り込んでいった。
ストリート・アートのメインストリームの地位獲得のエビデンスの一例は、2008年の夏にテイトからテムズ・サイドのギャラリーに対して屋外作品の制作のためにストリート・アーティストに対して呼びかけを行ったことなどがある。
違法であるはずの落書きのような都市のムーブメントが徐々に公衆から受け入れられるにつれて、人々の認識は変化しはじめた。東京都では違法落書きであるはずのバンクシーの作品を国が大切に保管し、都庁で展示もされ、知事は笑顔で記念写真を撮影するまでになった。
あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました! 東京への贈り物かも? カバンを持っているようです。 pic.twitter.com/aPBVAq3GG3
— 小池百合子 (@ecoyuri) 2019年1月17日
アンダーグラウンド・アートからファイン・アートへ
この違法アートであるはずのストリート・アートが大衆の介入により認められ、ついには国家が保護するにいたる経緯は、イギリスの社会学者ディック・ヘブディッジのサブカルチャー理論がそのままあてはまる。
ヘブディッジによれば、サブカルチャーの集団が大きくなると、最終的には必ず実業家たちが、彼らの文化や音楽に対してビジネスチャンスを嗅ぎ取り、その後、メインストリームにもサブカルチャーの要素が現れはじめ、最終的には「反抗的」「破壊的」「過激」という要素がメインストリームのコンテンツの1つとなり、サブカルチャーはマジョリティ市場に飲み込まれて死を迎えるという。
オークションで高額商品となり死を迎えたバンクシーのアーバンアート「愛はゴミ箱の中に」。
特に、音楽を基盤としたサブカルチャーは、特にこのようなプロセスを経て崩壊することが多い。ジャズ、ゴス、パンク、ヒップホップ、レイブなどのようなサブカルチャーは、短期間のうちに大衆文化、そしてファインアートに飲み込まれたサブカルチャーの代表といえる。
■参考文献
・Urban art - Wikipedia、2019年6月27日