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【作品解説】バンクシー「ルイーズ・ミッシェル号」

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ルイーズ・ミッシェル号 / The Louise Miche

ワルの人権活動家を支援するための難民救助船


概要


「ルイーズ・ミッシェル」はバンクシーの投資アート。19世紀フランスのフェミニストで無政府主義者として知られるルイーズ・ミッシェルにちなんで名付けられた難民救助船に対して資金提供を行ったプロジェクト。

 

船体には救命胴衣をつけ、ハート型の浮き輪を手にしている少女が描かれている(バンクシーが描いたかどうかは不明)。バンクシーの代表的な作品「風船と少女」からの派生作品といえる。

 

バンクシーは船を購入しただけで、自身は救助活動などに関与していないマルセル・デュシャンの「レディ・メイド」または「修正レディ・メイド」の文脈上で評価されるべき傑作の一つとみなされている。

 

ルイーズ・ミシェル号は、人権活動家で「英雄」船長と同時に犯罪者指定されている船長ピア・クレンプ率いるヨーロッパ各地の活動家たちの難民救助船。地中海を巡回して、北アフリカからヨーロッパに向かう移民の救助を目的としている。

 

2020年8月18日、スペインのブリアナ港から密航し、ドイツで正式に登録され、ドイツ旗のもと地中海やリビア沖でこれまで150人以上の難民を救助してきた。

 

救助期間中、乗員オーバーで操舵不能になり救援要請を出したものの、EU当局が意図的に無視されるトラブルに遭ったが、最終的には乗客のうち衰弱の激しい49人と1名の遺体がイタリアの沿岸警備隊の救助船「ランペドゥーザ」に移され、9月3日にシチリア島のパレルモ港に無事到着した。

 

人種平等の理念を推進させていると主張しながら、一方で強硬な反移民姿勢を取る政府の偽善を強調した様子を撮影したバンクシーのビデオは、インスタグラムに投稿され、「All Black Lives Matter」の言葉で締めくくられている。

 

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. . mvlouisemichel.org

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ルイーズ・ミシェル号で救助された人々
ルイーズ・ミシェル号で救助された人々

ワルの人権活動家船長ピア・クレンプ


ルイーズ・ミッシェルの投資プロジェクトは、2019年9月にロンドンのクロイドンでポップアップ・ショップを開き、店舗の売上金を「新しい移民救出ボート」を購入する意思をピア・クレンプに伝えたところまでさかのぼる。

 

「こんにちは、ピア、新聞であなたの話を見た。あなたはワルのように見える」とバンクシーはメッセージを送り、続けて「私はイギリスのアーティストで、移民の危機についていくつかの作品を作っている。新しい船か何かを買うのに使ってくれないかな?連絡ください。バンクシー」と送ったいう。

 

人権活動家のピア・クレンプは以前「イウヴェンタ号」という船を所有していたが、イタリア当局に押収されたため、バンクシーはその船の代替を申し出たいということだった。

 

 

ケンプは当初、バンクシーの申し出は冗談だと思っていたが、彼の関与が経済的支援に限定されることを理解して、援助の申し出を受け入れたと語った。

 

ルイーズ・ミシェル号の乗組員10名は多様な経歴を持つが、全員が反レイシスト、反ファシストの活動家であり、急進的な政治変革を提唱している。フェミニストのプロジェクトであるため、ルイーズ・ミシェルの名のもとに発言できるのは女性クルーのみとなっている。

ピア・クレンプ
ピア・クレンプ

難民や避難民を主題としてシリーズの1つ


難民や避難民の窮状を浮き彫りにしてきたバンクシーの芸術活動は、今回がはじめてではなく以前から行われている。

 

2003年に初めてベツレヘムを訪れてからバンクシーは、「パレスチナを世界最大の開放的な刑務所に変える」と言い、ヨルダン川西岸壁をステンシル作品で埋めるため何度も足を運んだ。

 

2015年には、シリア危機から逃れフランスのカレー近くに集まっていた移民たちの「カレー・ジャングル」に、スティーブ・ジョブズをモチーフにした「シリア移民の息子」の作品を残している。

 

 

2017年には、壁の隣に「Walled Off Hotel」をオープンし、廃墟となったベツレヘムの一角に、必要とされる生活と観光需要をもたらした。

《シリア移民の息子》
《シリア移民の息子》



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