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【作品解説】ジャン=ミシェル・バスキア「キャデラック・ムーン」

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キャデラック・ムーン / Cadillac Moon

バスキアの最初のファイン・アート作品


ジャン=ミシェル・バスキア《キャデラック・ムーン》,1981年
ジャン=ミシェル・バスキア《キャデラック・ムーン》,1981年

概要


作者 ジャン=ミシェル・バスキア
制作年 1981年
メディウム キャンバスにアクリル、オイルスティック
ムーブメント 新表現主義
サイズ 162 cm × 172 cm

《キャデラック・ムーン》は、1981年にジャン=ミシェル・バスキアが制作した絵画。歌手のデビー・ハリスが200ドルで購入した作品で、バスキアの最初のファイン・アート作品として認知されている。

背景


ニューヨークのブルックリンで生まれたバスキアは、1978年にSAMOというペンネームでグラフィティを書き始める。また、1979年には、マイケル・ホルマンとバンド「グレイ」を結成して、音楽活動もはじめる。。

 

1980年6月に、「タイムズ・スクエア・ショー」に参加し、ファイン・アーティストとしてのキャリアが本格的にスタートさせる。

 

1980年後半、バスキアは、エド・ベルトリオが監督し、グレン・オブライエンが脚本・製作する『ニューヨーク・ビート』(後に『ダウンタウン81』と改題)の撮影に出演。バスキアの役柄は、キャリアをスタートさせようとする画家、かつミュージシャンという彼自身の人生と平行したものだった。

 

映画の制作スタッフは、バスキアが映画用のために制作した絵画を購入。映画に登場する彼の作品群は、バスキア自身が描いたものであり、また、彼の最初のキャンバス作品シリーズとみなされている。

 

1981年の撮影終了後、共演者のブロンディのデビー・ハリーが、最初に描いた「キャデラック・ムーン」を200ドルで購入した。なお、バスキアはブロンディの「ラプチャー」のミュージック・ビデオにも出演している。

分析


 都会の風景は、バスキアの作品の中で繰り返し登場する主題である。

 

キャデラック・ムーンは、バスキアの成熟した作品の定番で、熱狂的で子供のような絵と、祈りにも似た反復的な言葉やフレーズで覆われている

 

この絵には、キャンバスの左側にテレビが積み重ねられ、それぞれの画面に顔が描かれ、左上に2台の車(キャデラック)が描かれている。

 

 

キャンバスの右端には「A」の文字が繰り返し描かれている。下部には、バスキアが「SAMO©」のサインを打ち消して、アフリカ系アメリカ人の野球選手ハンク・アーロンを暗示する文字「AARON」や「JEAN MICHEL BASQUIAT 1981」のサインが描かれている。

展示


 《キャデラック・ムーン》は、2010年にバスキアの生誕50周年を記念して開催されたヨーロッパ初の回顧展「Basquiat」の一部として展示された。 この展覧会は、スイス・バーゼルのバイエラー財団で始まり、その後、パリへ巡回した。

 

2010年11月にパリ市立近代美術館に展示しているときに、何者かによるフェルトペンでの落書きがあったことが判明し、メディアの注目を集めた。専門家が損傷に気付くのに少なくとも数日かかったほどわかりづらい跡である

 

 

バーゼルに展示されていた際には、フェルトペンによるわずかな痕跡があったことが写真で確認されている。


■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/Cadillac_Moon、2021年12月5日アクセス



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