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【美術解説】フランシスコ・デ・ゴヤ「パラソル」

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パラソル / The Parasol

貴族入りしたゴヤの出世作


《パラソル》,1777年
《パラソル》,1777年

概要


作者 フランシスコ・デ・ゴヤ
制作年 1777年
メディウム リネンに油絵
サイズ 104 cm × 152 cm
所蔵者 プラド美術館

《パラソル》は、1777年にフランシスコ・デ・ゴヤが制作した油絵。壁掛けなどに使われる室内装飾のタペストリー画の中の1枚。

 

この油絵漫画シリーズは、スペインのマドリードにあるエルパルド王宮の壁にかけるタペストリーのために特別に制作されたものである。

 

タペストリーには日常の穏やかな出来事が描かれており、アストゥリアス公爵夫妻(後の国王シャルル4世とパルマのマリア・ルイーザ)の食卓を飾るにふさわしいものであった。

 

王妃がゴヤに依頼したのは、ダイニングルームを明るい雰囲気で飾りたかったからで、この「パラソル」をはじめとするタペストリーの絵は、王妃の依頼にゴヤが応えたものである。

 

 ゴヤは、当時ロココ様式に代わって人気を集めていた新古典主義に影響を受けている。この絵は、日常生活との関係からも古典主義的とみなされている。

 

《パラソル》は現在、マドリードのプラド美術館に展示されており、同シリーズのもうひとつの作品《目隠し鬼》も展示されている。

背景


1773年7月25日、ゴヤはフランシスコ・バイェウの妹ジョセファと結婚。バイェウは王立美術アカデミーの会員だったので、ゴヤが王立タペストリーの工房に参加する手助けとなった。

 

ゴヤは5年間で42のパターンをデザインし、やがてパラシオ・レアル・デ・エル・パルド宮殿の断熱壁や壁面の装飾を担当することになる。

 

この一連のタペストリー作品はゴヤの才能を十分に発揮させ、王宮に出入りできるようになり、彼のキャリアを大きく変える出世作となった。

 

1775年から1792年まで、ゴヤはタペストリーのための漫画(デザイン)を描いたが、これは彼の初期絵画のもので、おそらく彼の芸術的成長において最も重要な時期だった。タペストリーを描いたことで、ゴヤは人間の行動を鋭く観察するようになり、それが将来の絵画制作に役立ったという。

 

その後、1780年にサンフェルナンド王立アカデミーに選出され、1786年に王の画家に指名され、1789年に宮廷画家になる。

 

なお、フランス革命直後のシャルル4世の時代に、ゴヤのキャリアはピークを迎える。

解釈


ゴヤはしばしばフランスのファッションをスペインのファッションと結びつけて描いている。

 

この絵の女性はフランス風の服を着ており、地面に座り、長い散歩の疲れを癒しているように見える。右手には扇子を持ち、膝の上には小犬が抱きついている。

 

後ろの若い男性は女性の顔を覆うように日傘をさしている。マジョスタイルで、つまり当時のスペイン社会の下層階級のような服装である。

 

男の髪は網でまとめ、ベルトは色とりどりの絹でできている。背景の空には暗雲が立ち込め、木々が風に揺れているが、これは嵐の到来を告げているのだろう。

 

この絵は一見すると、とても穏やかな暖かさを放っているが、それを打ち消すように、かなり強い風に吹かれている木が描かれている点に注目したい。

 

片足を岩に乗せ、片足を乗せない少年の立ち姿は、有害な太陽光線と嵐の予兆から女性を守り、勝利を収めているように見える。


■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Parasol、2022年1月6日アクセス



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