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【美術解説】アウトサイダー・アート・フェア

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アウトサイダー・アート・フェア / Outsider Art Fair

アウトサイダー・アートに特化したフェア


概要


「アウトサイダー・アート・フェア」はアウトサイダー・アートに特化した国際的なアートフェア。2013年より画商のアンドルー・エドリンが設立したワイド・オープン・アーツ合同会社(WOA)が企画・運営している。

 

アウトサイダー・アート・フェアは、1993年にニューヨークで初めて開催され、2022年で30年目を迎える。1993年にサンフォード・L・スミス協会によってフェアは設立・運営され、2012年に画商のアンドルー・エドリンに運営権が移動した。

 

もともとはニューヨークのメトロポリタン・パビリオンでわずか25人の出展者で始まったフェアだが、現在は世界9カ国から66のギャラリーが参加。毎年1月下旬にニューヨーク、10月にパリで開催されている。

 

1993年の最初のフェアで発掘されたのがヘンリー・ダーガーだった。当時彼の作品は1万ドルから1万5000ドルだったという。現在それらとよく似たダーガー作品は2014年にパリ・クリスティーズで74万5000ドルで落札され、アウトサイダー・アートというカテゴリにおいて最高額を記録した。

 

ヘンリー・ダーガー以外で現在市場で人気が高まっているのは、ウィリアム・エドモンソン、マーティン・ラミレス、ビル・トレイラー、アドルフ・ヴェルフリだという。

 

フェアの初期は、設立者が民族芸術や骨董と関わりがあったこともあって、フォークアート(民族芸術)が中心だったが、25年を経て初期のコンセプトはかなり変化し、現代美術的市場と近接的なコンテクストや市場になりつつある。

 

・公式サイト:http://www.outsiderartfair.com/

ハワード・フィンスター 《空の十字架(2000年と877年)の神に感謝》,1983年、
ハワード・フィンスター 《空の十字架(2000年と877年)の神に感謝》,1983年、

コアな層からセレブ層へ人気が拡大


30年前に始まったアウトサイダー・アートフェアは、コアな客を対象にしていた。しかし今や、セレブリティも参加したがっている。

 

アウトサイダー・アートフェアのオーナーであるアンドリュー・エドリンは、アウトサイダー・アートの普及は、それを貫き通したディーラーたちのおかげであると語る。

 

2022年3月、ニューヨークのメトロポリタン館で開幕したアウトサイダー・アートフェア(3月6日まで)は、今年で30周年を迎える。この30年間でも、特にここ数年で、アウトサイダー・アートフェアに出品されるアーティストの社会的地位は劇的に変化している。

 

この10年足らずの間に、スミソニアン・アメリカ美術館はビル・トレイラーの回顧展を開催し(2018年)、ブルックリン美術館はジュディス・スコットにスポットライトを当て(2015年)、メトロポリタン美術館はアメリカ南部の黒人独学画家の作品を取り上げた「歴史は死なず:魂の成長財団ギフトからのハイライト」(2018年)展を開催した。

 

シカゴのギャラリーで40年間、独学で学んだアーティストを中心に扱ってきたカール・ハマーは、「30年前なら、人々はアウトサイダー・アートフェアを見て鼻で笑っただろう。だから、一般の人々はアウトサイダー・アートの意義について教育してきた」と語る。

 

ハマーは、著名ギャラリーがアウトサイダー・アーティストを受け入れるようになったのが興隆の一因だと考えている。例えば、R.クラムやビル・トレーラーの遺品は、いずれもでデビッド・ズワイナーが代理人となっている。

 

多くのアウトサイダー・アート・ディーラーと同様に自身をセールスマンというだけでなく、公的な対話者であると考えている。

 

この思いは、アウトサイダー・アートフェアを所有し、オーギュスタン・レサージュ(6万ドル)やフランティセク・ヤロスラフ・ペッカ(2万ドル程度)といった作家の作品を販売していたディーラー仲間のアンドリュー・エドリンも同じである。

 

「彼らは最前線にいるんだ」とエドリンは言う。「次のソーントン・ダイヤルとビル・トレイラーを今、探しているところだ」

 

アウトサイダー・アートに特化した小規模で熱心なディーラーこそが、彼の知る限りでは、良い仕事をしているという。

ロウブロウ・アートとの融合が始まる


30周年記念の一環として、アウトサイダー・アート・フェアでは、1960年代のカウンター・カルチャー、サブカルチャーと密接していたサイケデリック・アートの特別展を開催した。

 

サイケデリック・アートは、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)などの幻覚剤を広く使用した1960年代の若者文化に最も深く関連している。

 

サイケデリック・アートは、これまでファイン・アート市場ともアウトサイダー・アート市場とも異なる、ロサンゼルス中心のロウブロウ・アート市場で扱われることが多かった。

 

ロウブロウ・アーティストの作品は、独学で芸術を学んだアーティストや自意識が極めて特異な人たちによって作られることが多い。

 

その結果、生まれる芸術には、神秘的・霊的な関心や、知覚や現実に関する根本的な疑問が込められており、ビジョナリー・アートやアウトサイダー・アートの領域に近い運動と言われてる。サイケデリック・アートが美術界でほとんど認知されず、過小評価されてきたことは、ほんの数十年前のアウトサイダー・アートの軌跡と比較されるかもしれない。

 

この展覧会では、アイザック・エイブラムス、ジョー・コールマン、ブルース・コナー、ジーン・コナー、アレックス・グレイ、アリーソン・グレイ、H.R.アキラなど、サイケデリック体験に深く影響を受けた偉人や多くの優れた芸術家が紹介されている。

 

また、H.R.ギーガー、オルガ・スピーゲル、スザンヌ・ウィリアムズ、リー・コンクリン、ロバート・クラム、リック・グリフィン、アルトンケリー、ヴィクター・モスコソ、スタンリー・マウス、ゲイリー・パンター、スペイン・ロドリゲス、ジルベルト・シェルトン、ロバート・ウィリアムズ、ウェス・ウィルソン、S・クレイ・ウィルソンといったレジェンドのように、60年代以降の多くの人気ロックバンドとコラボレーションをした芸術家もいる。




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