アートワールド / Art World
世界標準の美術業界
概要
複数の職業の人達で構成される異業種間連携芸術
アートワールド(Art World)とは、美術の生産、批評、メディア、委員会、プレゼンテーション、保存、振興など芸術に関わるすべての人々で構成された世界観のこと。特定の団体や組織のようなものとは異なり、なんとなく生成されている集団・空気・界隈。オタク系や原宿系といった文化集団・社会集団。アートワールドは、21世紀の超格差社会にともない、富裕層の間で拡大しつつあり、グローバル・エリート文化となりつつある。
アートワールドでは、美術家、画商、コレクター、批評家、ジャーナリスト、キュレーターなどさまざまな職業の人たちの緩やかなネットワークで動いており、独特な価値観を共有している。アートワールドの人々が共有している価値観に沿った作品こそが「アート」と認識される。たとえば、マルセル・デュシャンの「泉」は一般の人々にとっては何の変哲もない便器であるが、アートワールドの人々には「芸術」と認識される。
アートワールドの構成員(美術家、画商、キュレーター、批評家、コレクターなど)が欠如している場所では芸術は発生しふらい。たとえば、美術家とコレクターしか構成員がいない場所ではアートは成立しない。理由として、あるアートがアートであることを保証する構成員(批評家、画商、キュレーターなど)が欠如しているためである。
アートの価値や歴史的文脈を検証する批評家やキュレーター、作品を保存して後世に伝える美術館、文筆家、さまざまな職種の人がそろってようやく成立するのがアートワールドである。
アートワールドと芸術運動
「芸術運動(art movement)」は、特定の共通した芸術哲学や目標を持った芸術の傾向・スタイルのこと。芸術運動は普通、設立者または批評家などによって定義された哲学や目標のもと、限定された期間(通常は数ヶ月、数年、数十年)内で、継続的な活動が行われる。
近代美術において「芸術運動」の存在はかなり重要な要素であり、連続的な動きを持った芸術活動は新しい前衛表現として見なされ、美術史に記録されることが多い。
特に視覚芸術の世界においては、現代の美術の時代になってさえも、芸術家、理論家、評論家、コレクター、画商たちはモダニズムの絶え間ない継続や近代美術の継続に注意を払っており、新しい芸術哲学の出現に対して歓迎の態度を示す。
芸術運動という言葉は、視覚芸術だけでなく、建築、文学、音楽などあらゆる芸術でも使われ、芸術運動名の大半は「イズム」が付く。
21世紀のおもな芸術運動
・アルゴリズム・アート
・オルタナ・モダニズム
・コンピューター・アート
・コンピューター・グラフィック
・デジタル・アート
・エレクトロニック・アート
・環境アート
・過剰主義
・インテンシズム
・インターネット・アート
・インターベンション・アート
・マキシマリズム
・メタモダニズム
・ネオミニマリズム
・ニューメディアアート
・ポスト・モダニズム
・リレーショナル・アート
・ルモダニズム
・ソーシャル・プラクティス
国家ではなく都市が活動場所
アートワールドの中心的な活動場所で重要になるのは「都市」である。「国家」ではない。なぜなら近代美術そのものが最初から国際性を持って生まれたためである。
アートワールドの人々の多くは、国境を超えて活動するので、国家観念には希薄である。そのため彼らにとっては、「アメリカ」「日本」「中国」よりも、「ニューヨーク」「東京」「香港」といった都市観念が重要になる。
芸術活動が盛んな都市は 「art capitals(芸術首都)」と呼ぶ。 芸術都市で重要なのは、ニューヨーク、ロンドン、ロサンゼルス、ベルリンの4都市。続いて北京、ブリュッセル、香港、マイアミ、パリ、ローマ、東京。