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【作品解説】バンクシー「偉大な英国の噴霧」

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偉大な英国の噴霧 / A Great British Spraycation

パンデミック期の旅行制限に関する風刺


グレート・ヤーマスで描かれた作品の1つ。
グレート・ヤーマスで描かれた作品の1つ。

概要


『偉大な英国の噴霧』は、2021年にバンクシーがイギリスのイースト・アングリア地方のさまざまな海岸都市に描かれたアート作品シリーズ。

 

グレート・ヤーマス、オルトン・ブロード、ローストフト、ゴールストン・オン・シー、クロマー、キングス・リンなどの町に作品が描かれた。

 

この作品は、イギリスの観光業が新型コロナウイルスの影響で打撃を受けていたときの「ステイケーション」という政策に対して独特の皮肉や風刺が込められている。

 

ステイケーションとは、新型コロナウイルスの影響で海外旅行に制限が課せられ、遠くに旅行に行くのではなく、近場のホテルで休暇を過ごすという旅行のスタイルのことである。

 

偶然またはおそらく意図的に、バンクシーが向かった3つの都市、グレート・ヤーマス、ゴーレストン、ローストフトは、2025年に次の英国文化都市になることを目指して競い合っている。

 

当初はバンクシー作品かどうか疑われたが、バンクシーのインスタグラム・アカウントに投稿された3分間のビデオから作品が本物であることが確認され、さらに『A Great British Spraycation』と名付けられたことが明らかにされた。

 

バンクシーは自転車のタイヤや砂山など、周囲に放置されたものを再利用することに長けている。本シリーズでは、屋外に放置されたさまざまなオブジェを利用している。

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作品一覧

『全員同じ船上にいる』オルトンブロード


『全員同じ船上にいる』オルトンブロード
『全員同じ船上にいる』オルトンブロード

サフォーク州オルトンブロードのニコラス・エブリット公園のランズスプリング排水路にかかる橋の側面に描かれた作品。

 

壁に「We're all in the same boat」と書かれており、バンクシーは、周囲に捨てられていた波板をボートの代わりに使っている。

 

ボートは排水溝を塞ぐ位置にあったため、洪水の懸念があり、撤去されたが、アートは色あせないように紫外線安定化ポリカーボネートスクリーンで覆われ、まだ現存している。

 

『カモメとコンテナ』ローストフト


カモメの壁画は、ローストフトのデンマーク・ロードとカトワイク・ウェイの角にある家の側面に描かれた。

 

断熱材の断片が入ったコンテナの横に描かれており、鳥が断片を盗むというイメージが描かれている。

 

壁画は保護柵に覆われまだ存在する。

 

『バールを持った子供』ローストフト


この作品は、ロンドン・ロードにある旧ローストフト・エレクトリカル・ストアの側面に描かれている。子どもがバールで砂の城を作る様子が描かれている。

 

ここでもバンクシーは物理的な小道具を使って壁画を装飾している。面の敷板が引き剥がされ下にあったと思われる砂で城を作り、壁画の前に付け加えている。

 

作品を保護するために保護柵が設置されたが、その後、建物の所有者が壁を撤去して、翌年1月に非公開で売却されている。

 

『デッキチェアの上のネズミ』ローストフト


ローストフトのノースビーチにあるリンクスヒルの下にある護岸に描かれたネズミの絵。

 

ネズミはデッキチェアにもたれ、カクテルを飲んでいる。下水が垂れ流されていく排水パイプの下にカクテルが描かれている。

 

発見から1週間後、壁画は白いペンキで汚されていた。壁画は保護柵で覆われまだ存在するが、残念なことに一部は破損されたままになっているという。

 

『バス停で踊るダンサーたち』グレートヤーマス


踊るカップルとアコーディオンを演奏する男性。この壁画は、町のガスホルダーがあるアドミララルティ・ロードにあるバス停の上にあり、保護柵で覆われ、今も残っている。

 

バンクシーはバス停の屋根をダンスホールの床に見立てた。

 

グレート・ヤーマス区議会のリーダーであるカール・スミスは、壁画がバンクシーのもの確定するまでに1週間はかかったと記憶しているという。

『アーケードのグラボ』ゴルルストン


この壁画は、ゴールストンの北ビーチにあり、休憩室のベンチに座っている人の上をゲームセンターのUFOキャッチャーが空中停止している様子を描いている。

 

描かれた後すぐにいたずらされ、下に6匹のテディベアのステンシルが描かれ、「Banksy Collaboration Emo」という文字が加えられた。

 

しかし、議会はこれを清掃し、保護柵を設置した。

『モデルヨット・ポンド・ディンギー』ゴルルストン


最も物議を醸した作品のひとつが、ゴムボートにしがみつく2人の子供と、それを膨らませる大人が飲み物に気を取られている様子を描いたものである。

 

この壁画は『アーケードのグラブ』の反対側、ゴールストンのモデルヨット池の壁に描かれたが、2018年に近くでボートから子どもが投げ出されて死亡して3歳の女の子が死ぬ事件があったため、すぐに塗り替えられた。

 

その後、作品があったコンクリート壁の部分が撤去された。

 

議会は、街のどこかで人々が無料で見られるように展示することを視野に入れ、いずれ修復する予定だと述べている。

 

この作品は、バンクシーのウェブサイトからも削除された。

 

『フレデリック・サベージ像』キングス・リン、グアノック・プレイス


蒸気機関士でキングス・リン元市長の銅像は、100年以上前からガノック・プレイスとロンドン・ロード・ウエストの角に設置されている。

 

銅像の手にはアイスクリームコーンが握られ、口からはピンクの舌が垂れ下がっていた。これもバンクシー作であることは、バンクシーのビデオから確認できる。

 

『ヤドカリ』クロマー


クロム・ビーチの海壁に描かれた壁画で、ヤドカリの群れが描かれている。貝殻に入った1匹が「高級賃貸のみ」と書かれた看板を裸のヤドカリに掲げている。この町は、カニ産業と住宅費で有名。

 

この壁画に込められた切実なメッセージは、地元の住宅危機という点である。この地域では、2,500人の住宅待機者を抱えている一方で、5,400軒のセカンドハウスがあるという。

 

防護柵で保護されていたがその後破壊された。


■参考文献

https://www.bbc.com/news/uk-england-norfolk-61968001、2023年3月10日アクセス



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