ピンクとブルー / Pink and Blue

「小さなイレーヌ」の姉妹作

『アリスとエリザベート』は、1881年にフランスの印象派画家ピエール＝オーギュスト・ルノワールによって制作された油彩作品で、一般的には『ピンクとブルー』という名称で呼ばれています。

ルノワールは、ルイーズ・カーン・ダンヴェルと銀行家の夫ルイーズ・ラファエル・カーン・ダンヴェルとの2人の娘アリスとエリザベートを描いています。

画家は当時のパリのユダヤ人社会の家族のために多くの肖像画を制作していますが、トリエステの豪族の子孫であるルイーズ・ド・モルプルゴと結婚したルイーズ・カーン・ダンヴェルは、その中でも最も裕福な一人でした。

ルノワールは、「ガゼット・デ・ボザール」の経営者でありルイーズの恋人でもあったコレクター、シャルル・エフルッシを通して知り合ったこの一家のために、多くの肖像画を依頼されたのです。

なお、ルノワールは夫妻の長女イレーヌを描いた「小さなイレーヌ」を制作しています。この作品は現在はチューリッヒのビュールレ財団に保存されています。

その後、ルノワールは他の2人の姉妹も描くことになりました。ルイーズはこの絵のためにルノワールに1,500フランを支払っています。

カメサスカによると、1881年2月末まで多くのシッティングセッションがあり、その後、ルノワールはアルジェに向かったといわれています。

数十年後、モデルの中で末の娘は、「セッションの退屈さは、エレガントなレースのドレスを着る楽しみによって補われた」と話しています。

1895年、アリスはイギリス陸軍士官チャールズ・ヴェール・フェラーズ・タウンシェントと結婚し、1965年まで生き、ニースで89歳で亡くなりました。

エリザベートは悲劇的な運命をたどりました。最初の夫である外交官で伯爵のジャン・ド・フォースヴィルと離婚した後、アルフレッド・エミール・ダンフェール・ロシュローと結婚したが、この人とも後に離婚しています。

1987年、スイスのマルティニーにあるピエール・ジアナダ財団で開催されたサンパウロ美術館のコレクション展の際、エリザベートの甥のジャン・ド・モンブリゾンが美術館に手紙を書き、彼女の悲しい最後を報告した。

彼女は若くしてカトリックに改宗したものの、ユダヤ人であることからアウシュビッツに送られ、1944年の3月に強制収容所に向かう途中で69歳で亡くなったといいます。

■参考文献