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【作品解説】長井朋子「フルーツポンチの休日」

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フルーツポンチの休日 / A Day Off of Fruit Punch

「小さな世界(It's a small world)」の代表作


長井朋子『フルーツポンチの休日』(2015年)
長井朋子『フルーツポンチの休日』(2015年)

概要


作者 長井朋子
制作年 2015年 
サイズ 146×227cm、57 1/2 × 89 3/8 インチ
メディウム キャンバスに油彩とグリッター
価格 660,000香港ドル(約1100万円)

長井朋子は1982年愛知県生まれ。2006年に愛知県立芸術大学美術学部絵画科油絵専攻を卒業。80年代以降の日本の現代美術家の代表として注目されている。

 

長井は幼少期の記憶や人形のコレクションからインスピレーションを受け、演劇的な構図と重厚な色彩で「小さな世界(“It's a small world”」と呼ばれるファンタジー空間を表現している。

 

現代の目まぐるしい生活の中で、彼女の純粋な想像力は喜びの場を保ち、癒しと安らぎをもたらし、多くの人々に愛されている。

 

長井の作品は、2011年ヴェネチア・ビエンナーレ、愛知・桜ヶ丘ミュージアム、東京・上野の森美術館、上海のパワーロンなどで展示されている。

フルーツポンチの休日


『フルーツポンチの休日』はパノラマ大判作品(146×227cm)で、クリーム色の白、淡いブルー、柔らかいグリーンで、クリームムースケーキのような絹のような豊かで自然な筆致を残し、芽吹く風景を描かかれている。

 

柔らかな毛皮のマントに身を包んだ左側の金髪の少女は、幻想的な旅を勧めるかのように、輝く瞳と笑顔で見る者を見上げている。

 

少女の上には、丁寧に描かれたさまざまな模様の布や、金色のハート、星が連なり、まるで舞台の幕のようで、作家の趣味であるキルティングと呼応している。

 

彼女の周りには、デザート、空に昇る魔法の鏡、金や銀のスパンコールなど、幻想的で甘いオブジェが置かれている。ホリデーパーティーで甘酸っぱい果実酒を飲むように、この作品は驚きの感覚を残している。

 

右を見ると、「不思議の国のアリス」のような世界が広がっている。巨大な青いキノコは傘のカバーのようで、ボーンチャイナのティーセットには自動的にお茶が注がれるのではなく、満開のバラや春の花が注がれ、ケーキとろうそくを運ぶ白馬に期待する熊のおもちゃと人形、長い脚を持つ巨大な火の鳥は、訪問者を歓迎しようと頭をさげている。

 

背景には霧が立ち込め、右側のエキゾチックで神秘的な宮殿を包み込み、窓には子猫のシルエットがぼんやりと浮かび上がり、次の不思議な出会いを待っているようだ。すべてが驚くほど豊かで魅力的なこの作品は、それだけで重要な名作といえるだろう。

 

2023年4月6日にチャイナ・ガーディアン香港のオークションで660,000香港ドル(約1100万円)で落札された。



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