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【作品解説】エドヴァルド・ムンク「思春期」

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思春期 / Puberty

ムンクの性的な憂鬱を反映した作品


エドヴァンド・ムンク「思春期」(1894-1895年)
エドヴァンド・ムンク「思春期」(1894-1895年)

概要


「思春期」は、1894年から95年にかけてエドヴァルド・ムンクによって制作された油彩作品。「思春期」はリトグラフ版やエッチング版も存在し、どちらもムンク自身によって制作されている。151.5cm×110cm。オスロ美術館所蔵。

 

「思春期」はベッドの端に裸の少女が座っている状態を描いたものである。足は閉じ、手は身体の前で交差している。右手は膝の間に挿し込むように置かれ、左手は太ももの上に置かれている。顔はまっすぐで目は大きく見開いている。口は閉じており、長い髪が肩の上にぶら下がっている。画面左から光が差し込み、画面右後ろには不吉な影が描かれている。

 

少女の不安と恐怖の象徴、少女の性的目覚め、若者が成熟に向かって身体的にも精神的に変化するときの経験が描かれている。

 

1880年代後半から1890年代なかば頃から、ムンクは「思春期」シリーズを描き始める。当時ムンクはすでにベルリンで売れっ子作家になりつつある時期であり、ベルリンに自身の住居を見つけ、ベルリンの新しい友人たちサークルを形成していた。

 

しかし、ムンクの新しい友人たちとの交流は、ムンクの性的な憂鬱を増加する要因となった。そして、ムンクは性的な憂鬱を「思春期」に反映させている。またこの作品の制作をきっかけに、次の10年間は「思春期」と同じく、内面的な感情を象徴主義風に描く方向へ向かった。

 

描かれている女性はムンク自身で、当時、ムンクはいとこの人妻ミリーと恋愛状態にあったが、彼女との性的な接触を恐れていたという。ムンクの性的恐怖は生涯続き、ワイン商の娘トゥラ・ラルセンからしつこく婚約を迫られても逃げ回り、結局、生涯独身として過ごした。



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