ソファーに座る裸体 / Nude Sitting on a Divan
古典美術と近代美術と中間にある作品
概要
作者 | アメデオ・モディリアーニ |
制作年 | 1917年 |
メディウム | 油彩、キャンバス |
サイズ | 100 cm × 60 cm |
コレクション | 個人蔵 |
抽象、具象、ヌード、イタリア・ルネサンスの融合
「ソファーに座る裸体」は、1917年にアメデオ・モディリアーニよって制作された油彩作品。赤いソファを背景にしたヌード画シリーズの1つで、足を交差させて座り、身体を部分的に隠している女性を描いたもの。
モディリアーニは、1916年から1919年のあいだに数十作のヌード画シリーズを制作している。抽象形式と具象裸体画、そしてイタリア・ルネサンス時代の優美な形態を融合させて「古典美術と近代美術の中間」を表現したことで美術的に評価されている。
この絵はとても感情的で、女性の目は深淵に描かれている。目から彼女の全身と肉体的な美が浸透していくように感じる。伸長して曲がった首は、心地よく顔から美しい身体へ視線移動させるために描かれているのだろう。
また、赤い背景とモデルの美しい肌の対照的なトーンは、鑑賞者にモディリアーニと描かれているヌードモデルとの間との強い感情的な繋がりとエロティシズムを感じさせる。
画商からの注文で制作された作品
ヌード画シリーズは、モディリアーニの友人であり画商だったレオポルド・ズボロースキーの依頼により制作されたものだった。
ズボロースキーは貧しいモディリアーニに住居やアトリエを与え、モデルや絵画道具も手配していたという。さらに、生活費のためにモディリアーニに毎日15から20フランを作品制作費として支払っていた。
そうした経緯からこのヌード画シリーズは、以前の彼の友人や愛人を表現したポートレイト作品とは異なり、モディリアーニの中ではズボロースキーのために制作した商業的要素の強い作品とされている。
オープニングで警察が個展に介入
この作品が展示された1917年のパリの個展は、モディリアーニの生涯における唯一の個展で、同時に公衆猥褻罪として近代美術史において悪名高い展示として記録を残した。この個展では7点のヌード画シリーズが展示されたとされるが、個展のオープニングに警察の介入によって一時的に閉鎖され、ギャラリーの通り沿いの窓から絵画を外された後、個展が再開されたという。
オークションで市場に流通
この作品は2010年のサザビーズで6890万ドルで落札された。また2015年10月年にニューヨークのクリスティーズ、パリ個展で展示されたヌード作品の1つ『赤いヌード』が出品され、1億7000万ドルで落札された。