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【作品解説】ポール・セザンヌ「カード遊びをする人々」

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カード遊びをする人々 / The Card Players

晩年のポール・セザンヌの核となる作品


セザンヌの『カード遊びをする人々』 (パリ、オルセー美術館)
セザンヌの『カード遊びをする人々』 (パリ、オルセー美術館)

概要


作者 ポール・セザンヌ
制作年 1899-1895年
メディウム 油彩、キャンバス
サイズ  47.5 × 57 cm
コレクション オルセー美術館

「カード遊びをする人々」は、1894年から1895年にかけてポール・セザンヌによって制作された油彩作品。「最後の時代」と呼ばれる1890年代初頭のスザンヌ晩年のシリーズ内の作品。

 

「カード遊びをする人々」は5点存在しており、各作品ごとにサイズ、人物の数、ゲーム設定が異なっている。またセザンヌは「カード遊びをする人々」のための習作やドローイング作品を膨大に作っている。

 

2011年にカタール王室が、「カード遊びをする人々」の1点(最後の作品)を2億5000万ドルから3億ドルで購入。別の4点はそれぞれニューヨークのメトロポリタン美術館、パリのオルセー美術館、ロンドンのコートールド・ギャラリー、フィラデルフィアのバーンズ・コレクションが所蔵している。

17世紀の風俗画と正反対の要素で描いている


このシリーズは、1890年代初頭から半ばにかけてのセザンヌ芸術の礎であるとみなされている。パイプをくわえてカードゲームに没頭するプロヴァンスの農民の姿を描いている。描かれている農民は全員が男性であり、カード遊びに熱中して顔をうつむけ、目の前の勝負に没頭している。

 

 

この作品は17世紀のオランダとフランスの風俗画の文脈を強く意識した上で、セザンヌ独自に改良して描かれている。このような絵画では、よく居酒屋で酔っ払った悪党や賭博者たちが、騒々しくカード遊びをしている風景が描かれるのが一般的であるが、セザンヌはもっと簡素な舞台で仏頂面の農民に置き換えた。

 

また以前は劇的で深みのある瞬間を描いた作品が中心だったが、スザンヌの肖像画は正反対でドラマや物語性や人物の性格を特徴づける要素が欠如している。テーブルには、封がされたワインボトルが二人の間に置かれているほかは、17世紀の風俗画には決まりのように描き込まれていたモチーフである酒も金も載っていない。

人の静物画


農民たちはお互いの顔ではなく手にしたカードに目を向けている。おそらく作品の外においても、このカードこそが彼らのコミュニケーションをとりあう唯一の手段であり、かつてのような酒場の喧騒で、コミュニケーションをするタイプではないのだろう。

 

 

ある批評家はこの情景を「人の静物画」と表現しており、また別の人間は、登場人物たちがゲームに熱中する姿は、画家が自身の芸術に没頭する様、カードゲームでコミュニケーションを取る様を映し出したものだと考えている。

デュシャンへの影響


 このセザンヌの作風の影響を色濃く受け継いでいるのがマルセル・デュシャンである。デュシャンの初期作品「チェス・プレイヤーの肖像」はキュビズム風に「カード遊びをする人々」を描いたものであるし、その後の「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」もスザンヌの「カード遊びをする人々」の延長にあるものだろう。

 1963年にパサデナ美術館での回顧展で、背景に「大ガラス」を設置し、ヌードモデルのイブ・バビッツを相手にチェスを打つデュシャン。
1963年にパサデナ美術館での回顧展で、背景に「大ガラス」を設置し、ヌードモデルのイブ・バビッツを相手にチェスを打つデュシャン。


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