アレックス・プラガー / Alex Prager
ハリウッド映画の物語を想起させる作品
概要
生年月日 | 1979年11月1日 |
国籍 | アメリカ |
表現媒体 | 写真、映画 |
公式サイト | http://www.alexprager.com/ |
アレックス・プラガー(1979年11月1日生まれ)はアメリカの写真家、映画監督。ロサンゼルスを基盤に活動している。
彼女の写真作品では、ビーチや空港、パーティー会場など多くの人が集まる環境を作家自身がディレクションして構築する。またプロの女優、モデル、多くのエキストラを起用して撮影する。それは、まるで映画のワンシーンのような写真である。
ポップカルチャー、ストリート写真、ハリウッド映画から影響を受けており、舞台色の強い写真が特徴。美術批評家はシンディ・シャーマン、フィリップ・ロルカ・ディコルシア、ダグラス・サークからの影響が見られると指摘している。
プラガーは、広く世の中に普及したハリウッド映画の文化に対する鑑賞者の体験や知覚に関心を抱いている。そのため鑑賞者がプラガーの写真に映る人物を見ると同時に何らかの物語を想起するように構成されている。
2013年から2014年にかけて発表した写真シリーズ「Face in the Crowd」が代表作である。大規模のセット、数百人のエキストラ、大規模な人数の制作スタッフを動員して、冷ややかな群衆のイメージを作り上げた。
短編映画作品も評価が高い。初の短編映画『Despair』は、010年にニューヨーク近代美術館で開催された「ニュー・フォトグラフィ2010」で上映され、大きな注目を浴びた。
略歴
初期作品
プラガーは、1999年から2000年にJ・ポール・ゲティ美術館で開催されたウィリアム・エグルストンの個展を見て影響を受け、独学で写真を撮り始める。
2005年にプラガーは『The Book of Disquiet』という作品集を制作し、個展を開催。彼女が注目を集めるようになったのは、2007年に開催された南カリフォルニアやさまざまな女性や少女に焦点をあてた作品群の個展『Polyester』から。
次の写真シリーズ『The Big Valley』は、2008年にロンドンのミヒャエル・ホップンギャラリーで、また2009年にニューヨークのヤンシー・リチャードソンギャラリーで展示された。
出世作となった短編映画「Despair」
2010年になると『Week-End』シリーズの制作と並行して、初の短編映画『Despair』の制作を始める。これは彼女の初期写真作品をベースにしたものとなっている。
1948年のイギリス映画『赤い靴』から影響を受けたもので、1960年代のロサンゼルスが設定舞台になっており、ブライス・ダラス・ハワードが主役を演じるバレリーナの闘争記録の4分の映画となっている。
この映像は2010年にニューヨーク近代美術館で開催された「ニュー・フォトグラフィ2010」で上映され、プラガーはこのイベントをきっかけに新人フォトグラファーとして有名になった。
2012年になるとプラガーは、災害や不穏な空間をテーマにした写真シリーズ「Compusion」に取り組み始める。また2つ目の短編映画 『La Petite Mort』を並行して制作。この映画でフランスの女優ジュディット・ゴドレーシュが主演を演じ、ゲーリー・オールドマンがナレーションを担当した。
Face in the Crowdシリーズ
2013年にプラガーはワシントンD.Cにあるコーコラン美術館での個展「Face in the Crowd」シリーズで現代美術家として正式にデビュー。
これが最もよく知られている作品である。ハリウッドの街の通り、映画館、ビーチ、空港など人々が密集する空間内に、不安な表情をした女性が写っている写真・映像作品である。
この撮影のためにプラガーは、自身の個人的な友人や親戚たちなど150人以上をエキストラとして起用。女優のエリザベス・バンクスを主演とした大規模な写真、10分間の三面映像インスタレーション作品が展示され話題になった。
La Grande Sortie
2015年にプラガーは、パリ国立オペラから「La 3e scène」のためのコンテンツ制作の依頼を受け、映像作品『La Grande Sortie』を制作し、パフォーマーのステージ体験と鑑賞者の視線の間における緊張を探求したという。バレリーナ役にバレエダンサーのエミリー・コゼット、リーディングダンサー役に同じバレエダンサーのカール・パケットが起用された。