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【作品解説】フランシスコ・デ・ゴヤ「カルロス4世とその家族」

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カルロス4世とその家族 / Charles IV of Spain and His Family

王室の腐敗を暗喩する集団肖像画


《カルロス4世とその家族》1800-1801年
《カルロス4世とその家族》1800-1801年

概要


作者 フランシスコ・デ・ゴヤ
制作年 1800-1805年
メディア 油彩
サイズ 280 cm × 336 cm
所蔵者 プラド美術館

《カルロス4世とその家族》は1800年から1801年にかけてフランシスコ・デ・ゴヤによって制作された油彩作品。280 cm × 336 cm。スペイン王カルロス4世とその家族を豪華な衣と宝石で彩って誇張気味に描いた等身大の集団肖像画である。

 

マドリードにあるプラド美術館が所蔵している。ベラスケスの《女官たち》を手本に、自然主義的で王室らしい環境を背景に王室を主題に描いている。

 

王家は一見したところ芸術家のアトリエに訪れているように見える。画面左端には鑑賞者の方向からやや目をそらし、キャンバスに絵を描いているゴヤの姿が見えるが、これはベラスケスが自身の姿を《女官たち》で描いた表現を下敷きにしている。

 

しかしながら、宮殿内部の雰囲気や暖か身の感じるベラスケス作品と異なり、ガッシアの言葉を借りれば「差し迫った窒息感」を感じさせるところがある。

 

この作品は、1814年からマドリードの王宮に、1824年からプラド美術館が所蔵している。

人物構成


1:カルロス・マリア・イシドロ・デ・ボルボーン(カルロス4世の次男)

2:ゴヤ

3:フェルナンド7世(カルロス4世の長男)

4:マリア・ホセファ・デ・ボルボン(カルロス4世の姉)

5:フェルナンドの未来の妻:作品が完成するまで彼女が誰かわからなかった

6:マリーア・イザベッラ・ディ・スパーニャ:(カルロス4世の四女)

7:マリア・ルイサ・デ・パルマ(カルロス4世の妻)

8:フランシスコ・デ・パウラ・デ・ボルボン(カルロス4世の末っ子)

9:カルロス4世

10:アントニオ・パスクアル・デ・ボルボン(カルロス4世の弟)

11:カルロッタ・ジョアキナ・デ・ボルボン(カルロス4世の長女)

12:ルドヴィーコ1世(カルロス4世の義理の息子)

13:マリーア・ルイーザ・ディ・スパーニャ(カルロス4世の次女でルドヴィーコ1世の妻)

14:カルロ2世

 

解釈


1799年にゴヤは宮廷画家の首席に就き、年俸50,000リールの所得を得る。この時代に制作したのが本作である。多くの美術史家が人物の配置や絵画スタイルについて言及している。

 

フランスの作家テオフィル・ゴーティエは、本作品は単純な肖像画ではなく、ゴヤは何かしら風刺していると指摘している。

 

ベラスケスの『女官たち』を基盤にしており、画面左端にゴヤ自身が描かれているが、これはカルロス4世体制の背後にある腐敗政治をあらわしたものだとみなされている。そのためゴヤは家族の背後から家族の肖像を描いてる。

 

たとえば、中央に描かれているのはカルロス4世の妻マリア・ルイサで、彼女は当時カルロス王よりも力を持っており、国政を操作していたとされている。

 

左側に配置されている青いスーツを着た男性、未来においてスペイン政治の歴史において最も厄介なフェルナンド7世である。フェルナンド7世は両親のカルロス4世とマリア・ルイサからのけものの状態にあり、実際にクーデターの計画を立てたこともあった。

 

また、フェルナンド7世の隣の顔を背けている女性は、彼の未来の妻であるが、マリア・ルイサから顔を背けているようににみえる。

 

背景に描かれている絵画はロトとロトの娘であることから、ゴヤは背後から王室の腐敗や衰退への感情が本作に込められていることがわかる。



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