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【作品解説】クロード・モネ「睡蓮」

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睡蓮 / Water Lilies

モネが晩年30年間に制作した庭シリーズ


《睡蓮》1922年
《睡蓮》1922年

概要


作者 クロード・モネ
制作年 1876年
サイズ 231cm×142cm
メディウム 油彩
所蔵 ボストン美術館

《睡蓮》はクロード・モネによって制作された約250枚の油彩絵画なるシリーズ作品。フランス、ジヴェルニーにあるクロード・モネの自宅の庭(現在のモネ財団)を描いたものである。モネの晩年までの30年の間に制作されたもので、モネ後期作品の代表でもある。特に白内障で苦しんでいるときに多数制作された。

背景


モネは1889年から主題や遠近法に関連した絵画シリーズの制作、および展示を始める。それはモネが亡くなる1926年まで、約30年に及ぶ長いシリーズだった。

 

モネは1893年に敷地を購入し、リュ川の水を引いて睡蓮の咲く池を作り、「水の庭」と呼ばれる日本風の太鼓橋のある庭を作り始めた。フランス国内の白睡蓮とともに南米とエジプトの輸入栽培品種の睡蓮を取り寄せて植え、池には黄、青、白ピンクの睡蓮が咲いた。

 

水の庭は1895年からモネの作品に現れるが、1898年から大量に描かれるようになる。1900年までの「睡蓮」第1シリーズでは、太鼓橋を中心に睡蓮の池と枝垂れ柳が光の変化に従って描かれている

 

1901年に睡蓮の池を拡張する工事を行い、1900年代後半まで「睡蓮」第2シリーズに取り組む。第2シリーズでは太鼓橋は見えず池の水面だけが大きく描かれている

 

また、当初は睡蓮の花や葉が主なモチーフであったが、次第に水面に移る空や柳の影が主役になっていった。

 

《日本橋と睡蓮》1897-1899年
《日本橋と睡蓮》1897-1899年

 なお、《睡蓮》シリーズは、いくつかあるモネのシリーズ作品の1つ。ほかに有名なモネのシリーズ作品は《クルーズ谷》シリーズや《干し草の山》シリーズがある。

 

1920年代、フランス政府はモネの8枚の睡蓮壁画を飾るためにオランジュリー美術館に一対の楕円形の部屋を建てた。この建物はもともとはテュイルリー宮殿のオレンジ温室だったが、モネの睡蓮の壁画を飾るため、美術館として整備された。1927年5月6日、モネの睡蓮画が展示された美術館が一般公開された。モネが死去して数カ月後だった。

 

 

その後、世界各地から60点ものモネの睡蓮画が集められ、1999年に特別展覧会が開催された。

市場価格


2007年6月19日、モネの睡蓮シリーズの1つがロンドンのサザビーズのオークションで1850万ポンドで落札された。2008年6月24日にはほかの睡蓮シリーズ作品《睡蓮池:1919年》が、ロンドンのクリスティーズのオークションで4100万ポンドで落札され、当初の見積額の1800万から2400万ポンドの約2倍となった。

 

2010年5月にモネの1906年作の《睡蓮》が2010年6月のロンドンのオークションにかけられることが告知された。その絵画は当初、3000万から4000万ポンドを見積もっていた。

 

クリスティーズのディレクターで印象派および近代美術部門を監督するジョバンナ・ベルタゾーニは、「クロード・モネの睡蓮画は、20世紀の最も有名な作品の1つであり、次世代の芸術家に多大な影響を与えた」と話している。2010年6月23日にオークションが開催されたが、この絵は最大2900万ポンドまで入札されたが、最終的に売却には失敗した。

 

2014年5月6日、睡蓮シリーズの1つが、ニューヨークのクリスティーズにかけられることが告知され、2700万ドルを見積もっていた。見積もり通り2700万ドルで落札され、オークション全体では1億4100万ドルの落札額に達した。

 

2014年6月、睡蓮シリーズの1つがロンドンのサザビーズのオークションでアメリカドルで5400万ドルで匿名のバイヤーによって落札されたが、2015年にクリーブランド美術館とロンドンのロイヤル・アカデミー美術館で開催された「現代の庭園会が:モネからマティスまで」という展覧会で展示された。

2008年にクリスティーズで落札された《睡蓮池:1919年》。
2008年にクリスティーズで落札された《睡蓮池:1919年》。


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