愛はごみ箱の中に / Love Is in the Bin
オークション中にズタズタにされた介入作品
概要
作者 | バンクシー |
制作年 | 2018年、2006年(オリジナル) |
メディア | キャンバスにエアロゾル・スプレー、アクリル、ボード、アーティスよる額 |
サイズ | 101 cm (40 in) × 78 cm (31 in) × 18 cm (7.1 in) |
《愛はごみ箱の中に》は2018年10月にサザビーズ・ロンドンのオークション中にバンクシーによって介入された芸術作品であり、介入芸術の代表作の1つ。
2006年にバンクシーが制作した風船少女シリーズの1つ《風船と少女》の絵画が、オークションで104万2000ポンドで落札された直後に介入された作品である。サザビーズは「美術史においてライブ・オークション中に作られた初の作品だ」と話している。
同作品は2019年2月5日から3月3日までドイツ南部のバーデン=バーデンにあるフリーダー・ブルダ美術館で展示されることになった。また、ドイツのシュトゥットガルト州立美術館は、今後最も重要な貸出作品になるだろうと話している。
オリジナル作品
本作品は2002年に制作された壁画《風船と少女》の派生作品で、プリント作品よりも極めて希少な独立した作品の1つとみなされている。
2006年に産業倉庫で開催されたバンクシーの個展「かろうじて合法」の後、まもなく友人にプレゼントされた作品である。プリント作品ではなく、バンクシーの数少ないキャンバス作品であるため、非常に希少な作品の1つとみなされていた。素材にはキャンバス、ボード、エアゾール・スプレーとアクリル絵具が使用されている。
バンクシーは、手渡した作品がその後オークションでいつか競売にかけられることを予想しており、友人に手渡す前に自動シュレッダーの装置を額内に設置していたという。
オークションと自動シュレッダー
2018年10月5日に開催されたサザビーズ・ロンドンで、この作品が競売にかけられ104万2000ポンドで落札された。この価格はオークションにおけるバンクシー作品では過去最高額となった。
しかし、落札終了を告げる木槌を鳴らした2秒後、作品が勝手に額の底から滑りおちはじめ、アラーム音とともに自動的に裁断され、その場にいたオークション参加者や関係者は叫び声をあげた。作品は電気仕掛けのシュレッダー装置をしかけるため、額の深い場所におさめられていた。サザビーズは機械が動作すると予見できなかったと話している。
作品が切り裂かれたあと、落札者との間で購入するかどうか話し合いがおこなわれ、10月11日に落札価格値で購入することで両者は合意にいたった。しかし、作品名は『風船と少女』から『愛はごみ箱の中に』に変更された。
落札者はサザビーズと長い付き合いのあるヨーロッパのコレクターである。美術市場関係者らは作品の自己破壊が、今後かえって作品の価値を高めると予測した。サザビーズは「美術史においてライブ・オークション中に作られた初の作品だ」と話している。
バンクシーはオークション時の裁断の様子を撮影し、Instagramにアップロードしてレポートしつつ、額内におさめられた裁断機器の構造を説明したが、投稿記事は削除された。その後、この絵が完全に裁断されるよう意図していたこを示す別のビデオを公開した。
推測と理論
現場を撮影した男はバンクシー、もしくはバンクシーの関係者であると推定されている。オークション終了後、蹄鉄工で芸術家のジョン・ギルバートは、作品が自動的に裁断されるという理論に多くの疑問点を示した。
『Bored Panda』でのインタビューで彼は、バンクシーが短い動画で裁断方法を解説しているが、この動画ではX-Acto製の刃物のようなものが横向きにキャンバスに取り付けられており、この状態では絵を裁断することは不可能であるという。
さらに、刃物の位置や間隔では、あのような裁断方法にはならないと話している。ギルバードは額内で自動裁断処理はしていないと判断しており、単にもともと裁断された絵画が仕組まれ引き出されただけで、オリジナルの絵画はどこかに保存されているとみなし、「伝統的なマジシャンのトリックである」と結論づけている。
作品の展示
同作品は2019年2月5日から3月3日までドイツ南部のバーデン=バーデンにあるフリーダー・ブルダ美術館で展示されることになった。美術館によると同作品の下半分を細断したシュレッダーは「動作しない状態」にあると明かした。
■参考文献
・https://en.wikipedia.org/wiki/Love_Is_in_the_Bin
・http://www.afpbb.com/articles/-/3209680
■画像引用