巖谷國士「シュルレアリスムとは何か」
30分でシュルレアリスムがわかる講義録
概要
『シュルレアリスムとは何か』(ちくま学芸文庫)は、文学者で美術評論家の巖谷國士によるシュルレアリスムの解説書。
さまざまなシュルレアリスム用語を断片的に解説するのではなく、シュルレアリスムの歴史に沿いながら、「いつ」「どこで」「どのような経緯で」「この技法が生まれた」と順序立てて解説するのが本書の特徴である。
1919年に「自動記述」がはじまり、その後、断続的に実験が繰り返され、1924年に『シュルレアリスム宣言』が発表され、パリでシュルレアリスム運動が始まる。当初は文学中心だったが「コラージュ」や「デペイズマン」を通して美術の世界でもシュルレアリスムが広がり、運動がピークに達する1929年、この10年間に起きた出来事を順番に読み取ってゆくことで、シュルレアリスムを深く理解できる構成になっている。
本書はもともと講演記録を基盤にしており、口語的な文体のため非常に読みやすい。ほかに「メルヘン」や「ユートピア」についても解説もあるが、美術的な文脈でシュルレアリスムを知るだけならシュルレアリスムの章(100ページほど)を読むだけでよく、30分もあれば読み終えることができる。
Amazonのレビューを見ると、シュルレアリスムの定義に対する間違いなどいくつか批判もあるが、ざっくりシュルレアリスムの技法(おもに自動記述とコラージュ)とは何かを知るには最良の一冊である。
おすすめポイント
- 歴史に沿って順序立ててシュルレアリスム全体がざっくりわかる
- 講演記録のため口語的な文体で読みやすい
- 100ページほど30分で読める
文庫: 297ページ
出版社: 筑摩書房 (2002/3/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4480086781
ISBN-13: 978-4480086785
発売日: 2002/3/1
梱包サイズ: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm