メイ・ウェストの唇ソファ / Mae West Lips Sofa
女優メイ・ウエストの顔を家具化
概要
「メイ・ウエストの唇ソファ」は、1937年にサルバドール・ダリによってデザインされた超現実家具。実際の制作は家具職人でダリはデザインを担当。ハリウッド女優メイ・ウエストからインスピレーションを受けて制作。86.5 x 183 x 81.5 cm。20世紀で最もセンセーショナルな家具といわれています。
ダリの理想的女性メイ・ウエスト
メイ・ウエスト(1893年8月17日-1980年11月22日)とはアメリカの女優で、戦前アメリカのセックス・シンボルでした。マリリン・モンローのようなかんじです。
メイ・ウエストはほかの女優と異なり、大きな尻、曲線美、下品性、スキャンダル性などなど、ダリにとって理想の要素をあわせもつミューズだったといいます。そのため、彼女をモデルにした作品です。
シュルレアリスム家具
「メイ・ウエストの唇ソファ」は、そのままでも相当シュールですが、特定の場所から見ることで、部屋全体がメイ・ウェストの顔のように見えるシュルレアリスム・インスタレーションの一部でもあるんです。
1934年から1935年にかけて、ダリは「メイ・ウエストの唇ソファ」の直接的なルーツとなる水彩画作品「メイ・ウエストの顔のシュルレアル・アパート」という作品を制作しています。これは1936年の「ロンドン国際シュルレアリスム展」で展示されました。
そのときに訪れた有名コレクターのエドワード・ジェイムズが、この水彩作品を大変気にいります。そして、ジェイムズはちょうど自宅の豪邸をリフォームしていた頃だったこともあり、ダリに「メイ・ウエストの顔のシュルレアル・アパート」の部屋を自宅に現実化してほしいと要請したようです。
ダリは当時相当経済的に困っていたため、ダリの一年間の生活費でジェイムズと制作の契約をしました。
ダリ劇場美術館で鑑賞できる!
「メイ・ウエストの唇ソファ」および「メイ・ウエストの顔のシュルレアル・アパート」は、現在、スペイン、カタルーニャにあるダリ劇場美術館で常設展示されています。ただし、こちらはオリジナルとは異なるバージョンだそうです。
Telegraphによれば、オリジナルの唇ソファは1つだけでなく5点存在するのですが、5点すべてをジェイムズが買い取りました。ジェイムズが1984年に亡くなる前に、1点はブライトン・アートぎゃらりが購入、もう1点はクリスティーズ経由で個人蔵となったようです。残り3点は、ロンドンのウエスト・ディーンにあるエドワード・ジェイムズ財団が所有しているといいます。
目は絵画、鼻はランプ、唇はソファで構成されています。
マリリン・モンローの唇ソファ
1972年にイタリアのデザイン集団「スタジオ65」は、ダリの「メイ・ウエストの唇ソファ」のオマージュ作品として、マリリン・モンローの唇をモチーフにした「ボッカリップソファ」というものを制作しています。ボッカとはイタリア語で唇の意味です。これは一般商品として購入可能です。