ホドロフスキーと子どもたち
アレハンドロ・ホドロフスキーの映画には、監督自身が役者として登場するだけでなく、実の子どもたちもよく登場する。ホドロフスキーには5人の子どもがいる。そこでホドロフスキーの5人の実の子どもを紹介してみよう。
ブロンティス・ホドロフスキー
ブロンティス・ホドロフスキー(1962年10月27日チリ生まれ)はホドロフスキーの長男。チリ・フランスの役者、劇場ディレクター。母はフランスの女優バーナデット・ランドル。
1970年に公開された『エル・トポ』で、エル・トポ(ホドロフスキー)の息子役(幼少時)で登場。なぜか裸で服を着ていない不思議な設定で、鑑賞者に強烈な印象を与えた子役である。
12歳のときには、幻となった超大作『Dune』で主役のポール・アトライズ役として出演する予定だったという。当時、ブロンティスはポール役をこなすために1日6時間の武術修行を365日休まず2年間も強制させられたという。そのとき学んだ武術は、フランスで有名な日本武術家ジャン=ピエール・ビグナから教わった柔術、空手、柔道、合気道。ほかにもナイフ術や剣術も習わされたという。ブロンティスはこのときの訓練は辛く、無慈悲だったと話しており、ホドロフスキー自身もやりすぎた事を反省している。
その後、ブロンティスはおもに演劇方面で活動するようになり、多くの演劇作品に出演した、また劇作家として活躍。活動場所の中心はパリで、シアター・ド・ソレイユを基盤に演劇活動をしている。
1991年に娘、アルマ・ホドロフスキーが誕生。彼女はフランスのモデル、歌手、女優として活躍している。
2014年に公開されたホドロフスキーの自伝的映画『リアリティのダンス』で、ブロンティスはホドロフスキーの父で自分の祖父役として出演している。ブロンティスの祖父はブロンティスが生まれる前に死んでいたので、一度も祖父の姿を見たことはなかったという。
ユジニア・ホドロフスキー
ユジニア・ホドロフスキー(1963年チリ生まれ)は、ホドロフスキーの長女。家族から離れて住んでいる唯一の子どもで、特に芸術的キャリアはなし。
クリストバル・ホドロフスキー
クリストバル・ホドロフスキー(1965年メキシコ生まれ)はサイコシャーマン、サイコ・マジック、詩人、画家、映画監督、劇場ディレクター、ホドロフスキーの次男。
子どもの頃からアレハンドロ・ホドロフスキーが創設した心療セラピー「サイコ・マジック」の教えを受ける。
現在はパリを中心にホドロフスキーのサイコ・マジックのアシスタントをしながら、メキシコ、チリ、ペルー、コロンビア、ベネズエラ、インドネシア、フィリピン、インドに行者として心理セラピーを実践している。
『サンタ・サングレ』で主人公フェニックスの大人の役で主演、『リアリティのダンス』では行者として出演として活躍。また画家としてフランスやヨーロッパ諸国で個展を開催。
テオ・ホドロフスキー
テオ・ホドロフスキー(1971年メキシコ生まれ)はメキシコの俳優。ホドロフスキーの三男。1995年、24歳で交通事故で死去。『サンタ・サングレ』にも出演している。
アダン・ホドロフスキー
アダン・ホドロフスキー(1983年10月生まれ)はフランスのミュージシャン、ディレクター、俳優。ホドロフスキーの四男。
アダンはこれまで7つの映画に出演している。最も有名なのは『サンタ・サングレ』の主人公フェニックスの少年期の役で、1989年の「サターン若手俳優賞」を受賞している。
アダンは音楽方面で才能を開花させている。
アダンは6歳のときにピアノの始めた。7歳のときにコンサートの楽屋でジェームズ・ブラウンに会い、ブラウンはアダンにダンスを教えたという。
アダンがギターを最初に習ったのはビートルズのジョージ・ハリスンからだった。16歳のときにパンク・パンド『ザ・ヘルボーイズ』に加入。そこで彼はヤロル・ポウパーやエイドリアン・ポーリーに出会い、別の音楽ジャンルに興味を抱き始め、ベースを弾き始めた。
2006年10月30日に、アダンはアダノスキーという名前で1stソロ・アルバム「Étoile Éternelle」をリリース。またエル・ドロという名前で1stシングル「アイドル」をスペイン語でリリース。2007年にアダンは映画『パリ二日間』に俳優として出演。2008年に2ndアルバム「エル・ドロ」を発売し、このアルバムをきっかけに国際的に注目を浴びるようになったた。2011年に3rdアルバム「アマドー」をリリース。UFI賞で「ベスト国際アーティスト賞」や「ベスト・ライブ・ショー」を受賞。
映画『リアリティのダンス』ではアナーキスト役として出演。またサウンドトラックを担当した。ホドロフスキーの子どものなかで一番出世している。
アルマ・ホドロフスキー
アルマ・ホドロフスキー(1991年9月26日生まれ)はフランスの女優、ファッションモデル、歌手。
長男ブロンティスの長女で、ホドロフスキーの孫娘にある。母はコメディアン女優のヴァレリー・クルーゼ。
アルアは、幼少の頃からパリの劇場で女優としてのトレーニングを積み、2011年にニューヨーク・フィルム・アカデミーのワークショップに3ヶ月参加、2013年にフランスのスタジオ・シアター・アニエールを卒業。
現在は、ファッション業界やテレビや映画などを中心に活動している。またパリで活動しているポップ・バンド「Burning Peacocks」のボーカリスト、作詞を担当。