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【作品解説】マン・レイ「涙」

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涙 / Tears

芝居じみた大きな涙


マン・レイ「涙」(1932年)
マン・レイ「涙」(1932年)

概要


作者 マン・レイ
制作年 1932年
サイズ 22.9 × 29.8 cm
メディウム ゼラチン、シルバープリント

《涙》は、1932年にかけてマン・レイによって制作された写真シリーズ。マン・レイ作品の中で最も評価の高い作品の1つ。

 

オリジナルプリントは、ロンドンのサザビーズで、2000万円で落札された。片目だけにトリミングされたバージョン「ガラスの涙」も存在している。

 

この作品の趣旨は「芝居」であるという。女性は苦悩を表すため悲しげに上方を見つめ、マスカラで装飾された目から涙を流している。しかし、大きく光り輝く涙は、一見すると悲しみを誇張するためのように見えるが、これは本物の涙ではなくガラス玉である。

 

なお、この女性の顔は人間ではなくファッションマネキンだという。マネキンを利用しているのは、偽りの涙を演出させるためだという。また、マン・レイは静物写真に挑戦することによって、現実と非現実を探求していたといわれる。

 

これは1932年に別れたマン・レイの恋人リー・ミラーとの関係が深い作品で、彼女と別れた後にすぐに制作された。マン・レイは彼女への復讐として、この作品を制作したといわれる。

 

マン・レイの作品において、目は内面を表現するための重要なモチーフで、彼の美術哲学における中心的なコンセプトである。


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■参考文献

Larmes (Tears) (Getty Museum)、2020年5月9日アクセス

https://www.manray.net/、2020年5月9日アクセス



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