シンディ・シャーマン / Cindy Sherman
コンセプチュアル・セルフポートレイト
概要
生年月日 | 1954年1月19日 |
国籍 | アメリカ |
表現媒体 | 写真 |
表現スタイル | コンセプチュアル・アート |
ムーブメント | ピクチャー・ジェネレーション |
シンシア“シンディ”・モリス・シャーマン(1954年1月19日)はアメリカの写真家、映画監督。ニューヨーク在住。さまざまな表現方法によって、社会における女性の役割や表現を、重要な問題を提起しようと挑戦的に努めている。
急速かつ広範囲にマスメディア・イメージが広がった1980年代初頭に台頭したゆるやかな芸術集団「ピクチャー・ジェネレーション」の代表的な人物。
初期はアメリカンフェミニズムに影響を受けたスーパー・リアリズムの画家だったが、1970年代後半に写真家に転向。自らを被写体とするコンセプチャル・セルフポートレイトが代表的な作品で、50年代の映画のワンシーンに出演女優そっくりに扮装して撮影する写真作品が、一般的にはよく知られている。
シャーマンは、「俳優は、舞台や映画で、自分自身ではなく、架空の役を演じています。わたしは同じことをしているのです」と語っている。
1995年にはマッカーサー・フェローシップを受賞。マーケットでは、世界で最も高価な写真として取引されており、2011年には「Untitled #96」が3億1124万で落札された。
略歴
シンディ・シャーマンは、アメリカ、ニュージャージー州、グレンリッジで生まれました。5人兄妹の末っ子でした。シャーマンが生まれたあとすぐに、家族はニューヨークのハンチントンに引っ越します。お父さんはグラマン社のエンジニアで、母親は学習困難な子どもたちに読んで教えました
シャーマンはバッファロー州立大学に入学してからで視覚芸術に関心を持ち、絵を描き始めます。初期はスーパー・リアリズム的な作品でした。ただ、絵画では自分の表現に限界を感じたため、写真へ移行します。
「きめ細かく他人の芸術を忠実に再現しようとしていましたが、後に再現作業はカメラを使ったほうがよく、自分はアイデアの方に時間を使った方がよいと気づきました」と写真へ移行した理由についてシャーマンは話しています。
また、シャーマンといえばセルフポートレイト作品ですが、セルフポートレイトに関心を持ち始めたきっかけについて「たぶん学校の先生の1人が、春に授業外の時間に生徒たちをバッファロー近くの滝のある場所に連れ出して、そこでみんなで服を抜いで遊び半分でお互いの写真を撮ったことかもしれない」と話しています。
シャーマンは、大学一年生のときに写真クラスの単位取得に失敗して留年しますが、翌年、同じクラスでバーバラ・ジョー・レヴェルと出会っい、コンセプチュアル・アートやほかの現代美術様式に関心を持ち始め、続いて、ハンナ・ウィルケ、エレノア・アンティン、エイドリアン・パイパーといった写真をベースにしたコンセプチュアルな作品に次々と出会い、自身の芸術の方向性をコンセプチュアル・フォトグラフィーに決めます。
1974年にロンゴ、チャールズ・クラフ、ナンシー・ダイヤーらとともにシャーマンは、多様な背景を持つ芸術家を収容する空間を意図として非営利組織「ホールウォール」を設立します。
初期作品
「バス・ライダーズ」(1976/2000)は、バッファロー州立大学卒業後、すぐに制作した15のモノクロ写真シリーズで、バスの乗客を観察して制作したセルフポートレイト作品です。シャーマンは1972年から76年まで大学に在籍していました。
15作品あり、シャーマンはそれぞれ異なる洋服、ウィッグ、メガネを身に着けて、足を組んで座ったりさまざなポージングをしています。タバコ、化粧鏡、ブリーフケース、膨らんだ紙袋、本などさまざまな小道具が使われており、これら小道具の効果により、鑑賞者は自由に乗客者の物語を想像します。1976年当時、実際のバス車内の広告設置部分に展示したといいます。
「バス・ライダーズ」学生時代にシャーマンが制作した写真であり、また1977年から1980年にかけて制作したシャーマンの最初のメジャー作品「Untitled Film Still」の橋渡しになる作品です。これら初期作品から、シャーマンのセルフポートレイトやドラマ仕立てへの関心
がよく表れています。
「バス・ライダーズ」は、2000年のニューヨーク、イースト・ハンプトンにある古書店Glenn Horowitz Booksellerで再版して展示するまで一般には公開されていませんでした。また同時代に制作し、「バス・ライダーズ」と同じく2000年にGlenn Horowitz Booksellerで展示されたほかの作品に「マーダー・ミステリー・ピープル」(1976/2000)があり、両シリーズともに20枚限定で再版されました。