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【美術解説】世界で最も高額な絵画ランキング【2023年最新版】

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高額美術作品の歴史


《モナ・リザ》が最も高額と推定されている


有名な美術作品、特に1803年以前の巨匠たちのマスターピース作品は一般的に美術館が保持している。美術館が所有している作品は一般市場に売り出されることがほとんどないため、それら作品については価格を付けることができない。

 

正確な価格はわからないがギネス世界記録では、レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナリザ》が美術作品において最高の保険価値が付けられているという。

 

パリのルーブル美術館で常設展示されている《モナ・リザ》は、1962年に12月14日に1億ドルと査定された。インフレーションを考慮して2020年の価格で査定すると最低でも約8億6000万ドルになると推定されている。

レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナリザ》1503-1506年。Wikipediaより。
レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナリザ》1503-1506年。Wikipediaより。

以下に記載したランキングリストで、一番古い販売日は1987年3月に一般市場で売買され、安田火災海上(現・損保ジャパン日本興亜)が落札した、フィンセント・ヴァン・ゴッホの作品《ひまわり》だが、この作品は当時、2,475万ポンド(2020年価格だと約7010万ポンド)で落札された。

 

この売上価格、安田火災海上が落札した《ひまわり》は、それ以前のアートの売買記録の3倍以上の価格に達し、アート市場に新しい時代をもたらすきっかけとなった。

 

この作品以前の美術作品の最高価格は、1985年4月18日にロンドンのクリスティーズで、J・ポール・ゲッティ美術館が810万ポンド(2020年価格だと約1950万ポンド)落札したアンドレア・マンテーニャの《マギの礼拝》だった。

フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》(F457)(1889年)東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館所蔵。
フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》(F457)(1889年)東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館所蔵。
アンドレア・マンテーニャ《マギの礼拝》1462年。Wikipediaより。
アンドレア・マンテーニャ《マギの礼拝》1462年。Wikipediaより。

ドル・インフレーションを考慮する場合、1987年以前において最も高額な作品となるのは、1967年2月にワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー・オブ・アートが、リヒテンシュタイン公家から購入したレオナルド・ダ・ヴィンチの《ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像》である。これは当時500万ドルで落札されたが、2020年現在の価格に換算すると3,900万ドルである。

レオナルド・ダ・ヴィンチの《ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像》1474年 - 1478年頃。Wikipediaより。
レオナルド・ダ・ヴィンチの《ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像》1474年 - 1478年頃。Wikipediaより。

ゴッホ、ピカソ、ウォーホルが代表的な高額作家


フィンセント・ファン・ゴッホパブロ・ピカソアンディ・ウォーホルは高額ランキングに位置づける代表的な近代美術家である。

 

ピカソとウォーホルは生存中に売れっ子作家となり非常に裕福だったが、ファン・ゴッホは生前は印象派の女流画家のアンナ・ボックに400フラン(現在の価格で2000ドル)で売った作品《赤い葡萄畑》1枚しか売れず無名だった。

 

2019年までのインフレーションに合わせて価格調整を行った場合、以下のリストに記載されているゴッホの9枚の作品を合計すると約9億ドル以上になるといわれている。

最も高額な女性作家ジョージア・オキーフ


最も高額な女性画家はジョージア・オキーフである。2014年11月20日にサザビーズのオークションで、アメリカの水晶橋美術館が彼女の1932年の作品《Jimson Weed/White Flower No. 1》を4440万ドル(2020年価格だと4850万ドル)で落札した。

非欧米圏の高額作家


高額美術作品89点のうち、非欧米圏の美術家の作品は6点だけで、それらは伝統的な中国の美術家たちで、斉白石(1864-1957年)、吴彬、徐揚、王蒙(1308-1385年)の作品である。特に注目に値するのは斉白石の作品《12の風景画》で、2017年に1億4080万ドルで売買されている。

 

なお、リストには載っていないが、中国系フランス画家の趙無極の油彩作品《Juin-Octobre 1985》は2018年に6500万ドルで売買された。

斉白石の作品《12の風景画》。Yahoo!ニュースより。
斉白石の作品《12の風景画》。Yahoo!ニュースより。

個人間取引は秘密保持契約で公表されていない


なお、個人間の美術品の取引には公的に報告されるわけではないので、このリストは不完全であることに注意したい。

 

たとえば、2019年6月25日、アメリカの投資家J.トミウソン・ヒルは、カラヴァッジョの《ホロフェルネスの首を斬るユディト Ⅱ》(1607年)を、フランスのトゥールーズのオークションで競売にかけられる2日前に直接購入している。

 

個人売買の際には秘密保持契約が締結されていたため、実際の売買価格は公表されていない。なお、ルーヴル美術館が1億ユーロ(約1億2,000万ドル)で購入するつもりだったが、絵は1億1,000万ドルから1億7,000万ドルと見積もられ販売を断られている。

カラヴァッジョ《ホロフェルネスの首を斬るユディト Ⅱ》,1607年
カラヴァッジョ《ホロフェルネスの首を斬るユディト Ⅱ》,1607年

2021年時点の高額絵画ランキング


2021年現在、最も高額で取引された絵画は、2017年11月15日にニューヨークのクリスティーズで競売がかけられたレオナルド・ダ・ヴィンチ《サルバトール・ムンディ》の4億5000万ドルである。

 

続いて、2015年11月にデヴィッド・ゲフィンからケネス・C・グリフィンに個人間取引されたウィレム・デ・クーニング《インターチェンジ》の3億ドル。ケネス・C・グリフィンは《ナンバー17A》も2億ドルでデヴィッド・ゲフィンから購入している。

 

また、2015年2月にルドルフ・シュテへリンからカタール王室(匿名とされている)に個人間で取引されたポール・ゴーギャンの《いつ結婚するの?》も3億ドルとみなされている。

 

カタール王室は2011年4月にギリシャの海運王、故ジョージ・エンブリコスからポール・セザンヌの《カード遊びをする人々》を2億7200万ドルで購入している。

1位:サルバトール・ムンディ

調整価格 4億9780万ドル
元の価格 4億5030万ドル
作品名 サルバトール・ムンディ
作者 レオナルド・ダ・ヴィンチ

制作年

1500年

売買日

2017年11月15日
売り手 ドミトリー・リボロフレフ
買い手 アブダビ観光局(複数あり)
オークション クリスティーズ・ニューヨーク

2位:インターチェンジ

調整価格 3億4300万ドル
元の価格 3億ドル
作品名 インターチェンジ
作者 ウィレム・デ・クーニング
制作年 1955年
売買日 2015年9月
売り手 デヴィッド・ゲフィン
買い手 ケネス・グリフィン
オークション プライベート・セール

3位:カード遊びをする人々

調整価格 3億100万ドル
元の価格 2億5000万ドル
作品名 カード遊びをする人々
作者 ポール・セザンヌ
制作年 1892〜93年
売買日 2011年4月
売り手 ジョルジュ・エンビリコス
買い手 カタール王室
オークション プライベート・セール

4位:いつ結婚するの?

調整価格 2億4000万ドル
元の価格 2億1000万ドル
作品名 いつ結婚するの?
作者 ポール・ゴーギャン
制作年 1892年
売買日 2014年9月
売り手 ルドルフ・シュテヘリン
買い手 カタール王室
オークション プライベート・セール

5位:Number 17A

調整価格 2億2900万ドル
元の価格 2億ドル
作品名 Number 17A
作者 ジャクソン・ポロック
制作年 1948年
売買日 2015年9月
売り手 デヴィッド・ゲフィン
買い手 ケネス・グリフィン
オークション プライベート・セール

6位:水蛇Ⅱ

調整価格 2億1380万ドル
元の価格 1億8380ドル
作品名 水蛇Ⅱ
作者 グスタフ・クリムト
制作年 1904-1907年
売買日 2013年
売り手 イブ・ブヴィエ
買い手 ドミトリー・リボロフレフ
オークション プライベート・セール

7位:ナンバー6(すみれ、緑、赤)

調整価格 2億1300万ドル
元の価格 1億8600万ドル
作品名 ナンバー6(すみれ、緑、赤)
作者 マーク・ロスコ
制作年 1951年
売買日 2014年8月
売り手 クリスチャン・ムエックス
買い手 ドミトリー・リボロフレフ
オークション プライベート・セール(イブ・ブヴィエ経由)

8位:マーティン・スールマンズとオーペン・コピットのペンダント肖像画

調整価格 2億600万ドル
元の価格 1億8000万ドル
作品名 マーティン・スールマンズとオーペン・コピットのペンダント肖像画
作者 レンブラント・ファン・レイン
制作年 1634年
売買日 2015年9月
売り手 エリック・デ・ロスチャイルド
買い手 アムステルダム国立美術館とルーブル美術館
オークション プライベート・セール

9位:アルジェの女

調整価格 2億500万ドル
元の価格 1億7900万ドル
作品名 アルジェの女
作者 パブロ・ピカソ
制作年 1955年
売買日 2015年5月11日
売り手 匿名
買い手 ハマド・ビン・ジャーシム・ビン・ジャブル・アール=サーニー
オークション クリスティーズ・ニューヨーク

10位:旗手

調整価格 1億9800万ドル
元の価格 1億9800万ドル
作品名 旗手
作者 レンブラント・ファン・レイン
制作年 1636年
売買日 2022年2月
売り手 ロスチャイルド家
買い手 アムステルダム国立美術館
オークション プライベート・セール

11位:撃ち抜かれたマリリンたち・セージブルー版

調整価格 1億9500万ドル
元の価格 1億9500万ドル
作品名 撃ち抜かれたマリリンたち・セージブルー版
作者 アンディ・ウォーホル
制作年 1964年
売買日 2022年5月9日
売り手 トーマス&ドリス・アマン
買い手 ラリー・カゴシアン
オークション クリスティーズ・ニューヨーク

12位:赤いヌード

調整価格 1億9480万ドル
元の価格 1億7000万ドル
作品名 赤いヌード
作者 アマデオ・モディリアーニ
制作年 1917-1918年
売買日 2015年11月9日
売り手 ジャンニ・マッティオリ
買い手 劉益謙
オークション クリスティーズ・ニューヨーク

《赤いヌード》は1917年にアメディオ・モディリアーニよって制作された油彩作品。モディリアーニの代表作で最もよく複製され、また展示されている作品の1つ。2015年11月9日のニューヨーク・クリスティーズで約1億7000万ドルで落札され、これまでのモディリアーニ作品では最高価格を記録した。購入者は中国の実業家である刘益谦(Liu Yiqian)。(続きを読む

13位:ナンバー5(1948)

調整価格 1億8820万ドル
元の価格 1億4000万ドル
作品名

ナンバー5(1948)

作者 ジャクソン・ポロック
制作年 1948年
売買日 2006年11月2日
売り手 デビッド・グリフィン
買い手 デイビット・マルティネス
オークション プライベート・セール(サザビーズ)

14位:女性 3

調整価格 1億8480万ドル
元の価格 1億3750万ドル
作品名

女性 3

作者 ウィレム・デ・クーニング
制作年 1951-1953年
売買日 2006年11月18日
売り手 デビッド・グリフィン
買い手 スティーブン・A・コーヘン
オークション プライベート・セール(ガゴシアン)

15位:マスターピース

調整価格 1億8240万ドル
元の価格 1億6500万ドル
作品名

マスターピース

作者 ロイ・リキテンスタイン
制作年 1962年
売買日 2017年1月
売り手 アグネス・ガンド
買い手 スティーブン・A・コーヘン
オークション プライベート・セール

16位:アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I

調整価格 1億8150万ドル
元の価格 1億3500万ドル
作品名

アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I

作者 グスタフ・クリムト
制作年 1907年
売買日 2006年6月18日
売り手 マリア・アルトマン
買い手 ロナルド・ローダー
オークション プライベート・セール(クリスティーズ)

17位:夢

調整価格 1億8030万ドル
元の価格 1億5500万ドル
作品名

作者 パブロ・ピカソ
制作年 1932年
売買日 2013年3月26日
売り手 スティーブンA.ウィン
買い手 スティーブン・A・コーヘン
オークション プライベート・セール


■参考文献

List of most expensive paintings - Wikipedia、2021年12月1日アクセス



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