ナルシスの変貌 / Metamorphosis of Narcissus
ナルシス・ダリ・ガラの三位一体絵画
概要
作者 | サルバドール・ダリ |
制作年 | 1937年 |
メディウム | カンヴァスに油彩 |
サイズ | 51.1 cm x 78.1 cm |
コレクション | テート・モダン |
《ナルシスの変貌》は1937年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。《水面に象を映す白鳥》と並んで、偏執狂的批判的方法(ダブル・イメージ)を利用した代表的な作品の1つであり、ダリの代表作の1つ。
主題はローマの詩人オウィディウスの『転身物語』である。『転身物語』とは、ギリシア・ローマ神話の登場人物たちがさまざまなもの(動物、植物、鉱物、さらには星座や神など)に変身してゆくエピソードを集めた物語で、ナルシストのルーツにあたるものである。
作品の左側で湖を見つめるのがナルシス、そのナルシスの右に同じような形態で三本の指に挟まれた卵が偏執狂的批判的方法(ダブルイメージ)で描かれている。ダブルイメージで描かれたその卵からはナルシスの生まれ変わりの水仙が殻を破り、花を咲かせている。左側のナルシスは自己愛のうちに死に、同時に花としてまた復活したということを同一的にダリは描いている。
また、この作品には「その頭が裂けるとき/その頭の形が裂けるとき/その頭が破裂するとき/それは花となる/新しいナルシス/ガラ/私のナルシス」という詩が添えられている。
つまり、ダリは湖を見つめる自己愛者ナルシスであったが、ガラとの出会いにより、ガラがナルシスへと変身し、ガラとダリという二人の人物がナルシスを通して同一の存在であることを意味している。