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【作品解説】サルバドール・ダリ「カタルーニャのパン」

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カタルーニャのパン / Anthropomorphic Bread

パンと男性器のダブルイメージ


「カタルーニャのパン」(1932年)
「カタルーニャのパン」(1932年)

概要


「カタルーニャのパン」は1932年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品です。

パンはダリにとって最も古くからのフェティシズムの題材の1つ。ダリはパンに強いこだわりを持ち、パンを男性器に置き換えた表現をよくしています。

 

この作品で描かれたパンは、その形状からして男性器を暗示しているのは明らかです。はじめにみたときはバナナかと思いましたが、硬くなったパンだそうです。なぜ硬くなったパンなのか。それは、パンも男性器もはじめは柔らかくしだいに硬くなっていく点で同じなためです。

 

ダリはパンと男性器をダブルイメージし、偏執狂的批判的方法で描いているのです。

 

また、ペンとインク壺は、フロイトによれば男性と女性を象徴しているそうです。次第に硬くなったパンの上には「記憶の固執」でもお馴染みのフニャフニャになった時計がかかっています。またパンの塊を固く結んで垂れ下がらないようにしている紐は、ダリの性的不能に対する不安を示したものでしょう。

 

このような柔らかいもの(時計)と硬いもの(パン)との対立は、ダリのなかでは、幼児期への退行と性の未分化の状態という主題と結ばれる。

 

●参考文献

・上野の森美術館「ダリ回顧展」図録

西洋絵画の巨匠 (3) ダリ

One Surrealist A Day

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