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【作品解説】マルセル・デュシャン「アネミックシネマ」

アネミックシネマ / Anemic Cinema

視覚的錯覚と言語的錯覚の融合した実験映像


概要


「アネミックシネマ」は1926年にマルセル・デュシャンによって制作された実験映像。マン・レイが撮影協力しています。

 

「ロトレリーフ」と呼ばれるデュシャンのドローイング作品を回転させたアニメーションで、10枚の「螺旋のある円盤」と9枚の「地口を書いた円盤」が、交互にひとつずつゆっくり回転しながら映しだされます。

 

「地口を書いた円盤」の方には「ローズ・セラヴィ」に収められたような語呂合わせが、ひとつずつ螺旋を描いて書き込まれています。題名のアネミックシネマ(Anemic Cinema)は、反対から読んでも同じように聞こえ、一見回分のようなアナグラムによる言葉遊びがされています。視覚的な錯覚と言語的な錯覚をひとつに組み合わせた作品です。

 

なお、デュシャンは1920年に「回転ガラス板」という光学装置を作っており、「アネミックシネマ」は、その「回転ガラス板」の系譜に当たる作品となっている。

 

デュシャンによれば、「回転する機械を組み立てるかわりに、なぜフィルムを回さないのか、それのほうが回転する機械を作って錯視遊びをするより、ずっと楽だろう」と思いつき、制作にいたったといいます。

 

映像にはデュシャンの女装用の名前であるローズ・セラヴィの名前がサインされている。

 

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